9月17日から始まる「吉蔵・秋の室礼展」に向けて、 厨子の資料を捜していたら、こんな面白い記事がありました。
「正倉院に納められている「黒柿両面厨子」は木工家にとって、注目の的ですが、
どうも合板技術が使われているらしい。
天板、地板とも、7枚の黒柿薄板を合わせて、狂いや割れを防いでいる。」
「へ〜、そんな昔に今で言う合板の技術があったんだ。」と驚いたのですが、
どうも著者の間違いで、一枚板ではなく、七枚の黒柿細板を並べて、はいである事のようです。
ところが、木象嵌の細工が美しい「紫檀木画双六局」は、
天板の構造が、芯材の表面に紫檀の板を貼って作られているという。
これこそ、まさしく合板そのもの。
やっぱり、遠い昔、無垢材の反りやひねりをどう調整するか、知恵を出していたのですね。
薄く剥いた板を木材などの表面に接着する手法は、 すでに、B.C.1500年代古代エジプトで行われていた。 その手法はローマ時代、ルネッサンス時代に受け継がれ手工業的工法で家具やドアなどをに利用。 1880年代頃にはいまのベニヤ板のように工業化されていたとされている。 (日本合板工業組合連合会による) 今でも、一枚板、無垢材を信仰としている木工愛好家が多々います。 無垢が本物、合板はニセモノと、客の前で公言している人さえいます。 でも、そういう人ほど、木が反ったり割れたりするのは自然だからと、うそぶく。 残念ながら多くの人が、無垢材を扱う長い経験を持たず、技術を知らないからです。 正倉院宝物の合板技術に見るように、 板(木が反るとかく)の問題点をどう克服したらいいか、すでに研究されていた事実。 機械で切ったまま、微調整という手仕事が出来なくなっている、現代木工職人の風潮を見るようです。 特に静岡は、合板を利用する合理的な指物技術が伝承されてきました。 無垢だけに拘らず、多様な木の使い方を考えたら、もっと可能性が広がると思います。
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