「吉蔵」の島桑指物家具の中で、和針箱は今でも人気があります。
江戸指物の定番であります。
そして、指物家具の技術で基本となるのが和針箱の製作です。
30数cm四方の四角の箱の中に、やらなければならない仕事がどっさり含まれています。
静岡の職人さんは針箱が得意でした。
だから、静岡には高い指物技術があるのです。
まず、抽斗(ひきだし)。
5つの抽斗の大きさが全部違います。
そして、島桑のような高級材を使う場合、
前板を島桑の薄板で囲む(ひもといいます)仕事が普通です。
天板は三味丁番で中折れ(真ん中で分かれる)方式になっています。
その中に、和裁縫に必要な、糸巻き(3枚)、針山箱、くけ棒(布を挟む金具を付ける)
を納めたカケゴ。
そしてカケゴの奥に隠し箱が挿入されます。
それら多くのパーツを職人さんが一人で全部作ります。
引き手金具もオーダーの一文字型。丁双(丁番)も三味線のデザイン。(今は廃盤)
東京の和物金具屋さんに古い型を起こしてもらいました
我が家でも、母の婚礼品として祖父吉蔵が製作した島桑の針箱があります。
「桑は化ける」といいますが、当初の山吹色がやがて渋い鼈甲色になっていました。
和裁をする人が少なくなった今日、和針箱は過去のもののような気がしていました。
しかし、最近でも時々問い合わせがあり、製作しています。
amazonの中古市場で見つけた、貴重な絶版本「江戸指物」と一緒に、
その一つがイギリス・リバプールの教授、B氏のところへ送りました。
島桑指物 尺二和針箱
サイズ 間口36cm・奥行き22cm・高さ29cm
材質 島桑材・桐材(抽斗内部)
参考価格 ¥110,000
只今、ネットショップにて限定販売中!
※一部、塗装が上記の画像と違う箇所があります。
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