「 木の温もりと手の温もりの出会い。 江戸指物 ー それは 東京下町の生活に根ざした 何よりも職人たちの”手”による 木工和家具類である 」
関 保雄著「江戸指物 ー 下町職人の粋と意気」(淡交社)・・・帯の紹介文より
著者の関保雄さんは上野池之端の和家具屋「京屋」の番頭さんをしていた人で、 指物家具職人、指物愛好家の間では知らない人はいないでしょう。 学者ではなく、商売人の著者が、日本の木工指物の盛衰を実体験から語っています。
箪笥、鏡台、厨子、飾棚などの箱物から下駄、箸などの小物まで、 職人の手仕事による生活用具を掲載。 指物家具で珍重された国内の木材、職人の工具、指物技術(仕口)の説明。 語り継がれる歴代の江戸指物師のこと。 少ないながらもプライドをもって技を磨く若手指物職人のこと。 そして、江戸町人が育てた粋の文化の変わりゆく様。
数々の貴重な図面やスケッチとともに、江戸指物の世界のすべてを紹介しています。 おそらく、世界最高の木工技術と評価される、 日本の指物家具の世界を紹介した、唯一の本でしょう。
実はわたしはこの本を、最近やっと手に入れました。 ずっと前から(1996年発刊)あったので、現在も書店にあると思ったら、 とっくに廃刊になっていたようです。
取引先の社長さんが二冊持っていたので、好意で一冊譲ってもらいました。 その後、出版社、著者、知り合いの職人さん、家具屋さんなど、 幾つも問い合わせてみましたが、ありません。 アマゾンの中古本では、数倍の値段が付いていました。 島桑ファンのイギリスの教授にプレゼントしたくて、今も探しています。
江戸指物や京指物は、そのままでは美術館入りになってしまいます。 しかし、垢抜けたデザインや小振りのサイズなど、参考になる点が多くあります。
存在感を強調するような欧米の家具とは違う、 粋で控えめな佇まいのこれらの家具のエッセンスを、 もっと今日の暮らしの中に生きる家具にリニュアルしていくにはどうしたらいいか。 以前からず〜っと模索しています。
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